2004年度の数学系月例談話会
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2005年2月17日(木) 15:30−17:00
若山正人氏(九州大学)
「ゼータ正規化積あれこれ」
アブストラクト:
ゼータ正規化積とは,ディリシュレ型の級数で定義されるゼータ関数の
解析接続を通して,無限大の発散を丸め込んだものです.
はじめは,幾何学における 指数定理・不変量の研究など
(Ray-Singer 1978) などで現れ,その後,超弦理論でのラプラシアンの
行列式研究 (e.g. D'Hoker-Phong 1986, Sarnak 1987) を経,
さらには,リーマンゼータ関数の行列式表示などを目指して
(e.g. Deninger 1991)研究がすすめられてきました.
ここでは,正規化積にまつわる研究の流れを振り返りながら,
現状とそれへの期待,さらには諸問題などについて
お話したいと考えています.
2004年12月2日(木) 15:30−17:00
甘利俊一氏(理化学研究所脳科学総合研究センター)
「情報幾何とその応用」
アブストラクト:
情報幾何は確率分布族のなす空間を研究する中から生まれた、新しい微分幾何構造である。確率分布の作る空間を考えよう。たとえばガウス分布は、平均と分散の二つのパラメータで決まるから、ガウス分布の全体はこれを座標系とする2次元空間である。この空間に本質的な幾何構造は何であろうか。ある種の不変性を要請すると、これがFisher情報を計量とするリーマン空間であることが分かる。さらに、二つの不変なアファイン接続があって、これがリーマン計量を核として双対的になっていることが分かる。双対接続の空間はこうして生まれた。
双対平坦な空間は、曲がったリーマン空間でありながら、不変なポテンシャルとダイバージェンスを持ち、拡張ピタゴラスの定理や射影定理が成立する。ここから興味ある構造が出てくる。
こうした構造は、統計的な推論の仕組みを明らかにするのに使えるのはもちろんのこと、情報理論、確率推論、システム理論、さらには神経回路網の学習力学など、多くの問題に関連してくる。談話会では、情報幾何の基礎を数学的なデテイルには踏み込まずに直感的に説明するとともに、多様な応用の世界を展望しよう。
2004年10月28日(木) 15:30−17:00
山田泰彦氏(神戸大学)
「平面代数曲線とPainlevé方程式」
アブストラクト:
十分な数の積分が存在するとき, 微分方程式は求積法(不定積分を求めること)
に帰着されます. これが可積分(系)という用語の由来のようです。
可積分な「よい微分方程式」や, その求積に必要な「よい関数」を見つけることは
19世紀まで古典数学の主要な関心事であったと思われますが、楕円関数論の完成と
Painlevé方程式の発見を最後に、恐らく具体的計算の限界に行き当り、
古き良き時代は終わってしまいました。
近年、計算機の飛躍的進歩により、百年前には絶望的と思われた計算も
楽々と実行できるようになり、EulerやGaussのような超人的計算力に恵まれな
かった人でも、古き良き時代の数学をそれなりに継承発展できるようになったのは
有難いことです。今回は、古き良き時代の可積分系のお話しから、その最後の遺産
であるPainlevé方程式について、同じく、
古典数学の主役であった平面代数曲線
との関わりを中心に紹介させていただきます。
2004年9月16日(木) 15:30−17:00
砂田利一氏(明治大学)
「結晶の数理」
アブストラクト:
離散幾何解析の観点から、結晶の数理的構造を見ることにする。
話題として取り上げるのは、次の3つである。
a)比熱の法則の厳密な導出
b)対称性と最小原理
c)ランダム・ウォーク
2004年6月17日(木) 15:30−17:00
枡田幹也氏(大阪市立大学)
「トポロジーから見たトーリック多様体論」
アブストラクト:
OHPシート
トーリック多様体論は,1970年代初頭に,Demazure,Mumford 一派,
三宅−小田によって発見された理論で,
代数幾何と組合せ論を繋ぐ架け橋と言えるものである.
実際この理論を用いて,組合せ論の問題を代数幾何の事実,
アイデアを用いて解釈できたり,解いたりすることができる.
Stanleyによる単体的凸多面体の面の数に関する
g-予想の解決は,その最たるものである.
実は,トーリック多様体論はトポロジーの観点から(ある程度)
展開できる.その際,
組合せ論の対象としては,トーリック多様体論で現れるものより,
より一般のものが現れ,トポロジーと組合せ論を繋ぐ架け橋を
(ある程度)構築できる.
本講演では,これについて概観し,組合せ論への応用を述べる.
2004年5月27日(木) 15:30−17:00
加藤和也氏(京都大学理学部)
「非可換岩澤理論について」
2004年4月22日(木) 15:30−16:30
磯崎洋氏(筑波大学数学系)
「空からレーダーで地表を見る」
2004年2月19日(木) 15:30−17:00
山口孝男氏(筑波大学数学系)
「3次元多様体の幾何化とリッチ流」
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