バックリンク文書のコピー文書の先頭へ Share via Share via... Twitter LinkedIn Facebook Pinterest Telegram WhatsApp Yammer Reddit最近の変更Send via e-Mail印刷パーマリンク × 目次 数式処理によるロバストかつ効率的なロボットの動作計画 事業概要 研究内容 1. 曲線を含む経路に対する経路計画問題の求解に関する研究 2. 6自由度のマニピュレータに対する逆運動学問題、経路計画問題に関する研究 3. ミニマックス多項式近似による推定問題の解法の研究 4. 小惑星探査ローバの位置推定手法および誤差評価の研究 研究業績 数式処理によるロバストかつ効率的なロボットの動作計画 ここでは、公益財団法人JKA 競輪補助事業 機械振興補助事業 研究補助/個別研究「数式処理によるロバストかつ効率的なロボットの動作計画補助事業」(2024M-370) の研究成果を掲示しています。 事業概要 本研究では、数式処理(計算機代数)によるロボット、特にマニピュレータの動作計画を対象としました。 数式処理による動作計画は、大域的な計算により、ロボットの動作前に動作計画の実行可能性を厳密に判定できるというロバスト性を持ちます。一方で、数値計算による局所的手法と比較すると、1) 計算コストの増加、2)座標や経路に対する浮動小数の直接的な適用が困難、といった課題があります。 本研究では、包括的グレブナー基底系や限量子消去法といった数式処理の理論を応用し、マニピュレータ対してロバストかつ効率的な動作計画手法を開発しました。 研究内容 1. 曲線を含む経路に対する経路計画問題の求解に関する研究 この研究では、マニピュレータ(腕型ロボット)のエンドエフェクタ(先端部)が障害物を避けつつ、始点から終点まで移動する経路を生成する手法として、ベジェ曲線を用いた経路計画を検討しました。具体的には、障害物を包含する球面と交差せず、かつマニピュレータの可動範囲内に収まるような経路を与える関数の導出を目指しました。 これまでは、スプライン曲線を用いた経路計画手法を提案していましたが、補間点をマニピュレータの実行可能領域内に設定しても、構成された経路がその実行可能領域を逸脱する場合がありました。本研究では、ベジエ曲線が持つ凸包性(曲線のすべての部分が制御点の凸包に収まる性質)を活用することで、制御点を実行可能領域内に設定すれば、生成される曲線も常にその実行可能領域内に収まることを確認しました。これにより、従来手法の課題を解決し、より安全かつ確実な経路計画が可能になりました。 2. 6自由度のマニピュレータに対する逆運動学問題、経路計画問題に関する研究 この研究では、まずエンドエフェクタの姿勢を固定した条件下での逆運動学問題を定式化し、問題を表す連立代数方程式に対して包括的グレブナー基底を計算することで、隣接する2つのジョイントの回転軸が1点で交わるという条件の下で解析的な解法を導出しました。次に、姿勢を固定しない一般の逆運動学問題に対しても、マニピュレータが特殊な姿勢を取らない条件下で同様に包括的グレブナー基底を計算し、解法を得ました。これにより、6自由度マニピュレータに対する逆運動学の適用範囲を拡大しました。 また、軌道計画および経路最適化においては、与えられたエンドエフェクタの姿勢に対して軌道計画解の存在を判定した上で、軌道上の各点における逆運動学解の中からジョイント動作がより滑らかになる解を選択することで、効率的な経路計画を実現しました。 3. ミニマックス多項式近似による推定問題の解法の研究 この研究では、ある物理現象に関する量を推定する問題において、非線形関数を含む推定方程式をミニマックス多項式で近似することで、問題を連立代数方程式へと変換しました。変換後の方程式系は、グレブナー基底などの数式処理手法を用いて代数的に解かれ、物理量の推定に活用されます。本手法の検討は、マニピュレータのロバストな動作計画に用いられるグレブナー基底計算の応用可能性を評価する一環として実施されたものです。 本手法の応用として、マイクロフォンアレイを用いた話者方向推定問題に対し、ミニマックス多項式近似を用いて連立代数方程式を導出し、それを解くことで話者の方向を推定する手法を検討しました。本手法により、複雑な連立方程式をより単純な代数方程式で表現でき、効率的に解くことが可能であることを示しました。 4. 小惑星探査ローバの位置推定手法および誤差評価の研究 この研究では、小惑星探査ローバの群ロボットが互いに電波を送受信し、その電波強度に基づいて相対位置を推定する手法を検討しました。位置推定は電波の伝搬モデルに基づく非線形連立方程式を解くことで実現されます。本手法の検討は、マニピュレータのロバストな動作計画に用いられるグレブナー基底計算などの代数的手法の応用可能性を評価する一環として実施されました。 先行研究では、ローバの大きさを無視することでモデルを簡素化していましたが、本研究ではこの近似による誤差の影響を評価しました。具体的には、ローバの大きさを考慮した新たな方程式を導出し、係数に含まれる誤差の大きさを見積もった上で、それが推定結果に与える影響を解析しました。その結果、ローバの大きさを無視することによって生じる誤差が位置推定制度に与える影響を明確に示すことができました。本研究は、代数的手法の実用性を評価するとともに、将来の小惑星探査ミッションにおける高精度な位置推定技術の確立に貢献するものです。 研究業績 研究業績のページをご覧ください。 jka-2024.txt 最終更新: 2025/06/12 02:33by aterui