このページでは、私が現在行っている、もしくは過去に行った研究の各課題の概要を説明しています(研究期間および、共同研究の場合は共同研究者も記載しています)。
私の研究全般の概要については研究のページをご覧下さい。
数式処理のグレブナー基底計算を用いて、マニピュレータ(腕型ロボット)の逆運動学問題や軌道計画問題を解く手法を研究しています。逆運動学問題の解の存在を厳密に保証しつつ、逆運動学問題を効率的に解く解法の開発に取り組んでいます。
小惑星探査を行う小型の群ロボットが互いに発信する電波の強度を測定して互いの相対位置を推定するための手法を研究しています。非線形の連立方程式を変数変換によって連立1次方程式に帰着させることで、方程式を効率的に解くとともに誤差を評価する手法に取り組んでいます。
成分が整数や有理数で与えられる行列に対し、レゾルベントの留数解析に基づき、行列の最小消去多項式や最小消去多項式候補を用いて一般固有空間やJordan鎖を効率的に計算するアルゴリズムの開発に取り組んでいます。
近似公約子(GCD)の研究は、数式・数値融合計算の中でも古くから行われている研究の一つです。解法にはさまざまなアプローチがありますが、私の研究では、制約つき最適化法に帰着させた反復算法の研究を行っています。本研究では、これまでの最適化法に基づく算法と同程度の精度で、これまでよりも極めて効率的(最大約30倍の速さ)で計算する算法の開発に成功しました。
語(文字列)の代数構造組み合わせ構造の特徴づけとして、形式的べき級数などによる特徴づけに取り組んでいます。
標記プロジェクトにおいて、中学校および高等学校数学科の教科書の定義文読み取りの能力と他の読解力の一部の間の相関や、文章題の読み取りと図との対応づけによる読解力の差に関する調査、分析を行いました。
標記プロジェクトの理数系チームにて、数学の問題を自動推論で解く研究に参加しました。私達のグループでは、大学入試センター試験の数列の問題を自動推論で解くアルゴリズムと実装を作り、模試の成績向上に貢献しました。
1変数多項式の重複零点を取り除こうとすると、与えられた多項式とその1階微分のGCDを求め、今度はGCDとその1階微分のGCDを求め・・・という計算を繰り返します。これが「無平方分解」と呼ばれる計算につながるわけですが、このようにして次々に計算する多項式剰余列を「再帰的な多項式剰余列」と名付け、それらに対する部分終結式の理論を与えました。
1変数代数方程式の根を数値算法で計算する場合、重根や近接根の計算は、精度が落ちるので困難が生じます。そこで、1つの近接根の集まり(クラスタ)に着目し、近似無平方分解等であらかじめクラスタの位置と多重度が求まっていることを前提に、クラスタ内の近接根を、高精度かつ高い効率で計算する算法を開発しました。
与えられた係数が誤差をもつような1変数代数方程式の実根の個数は、係数の条件によって変化する場合があります。係数の誤差範囲が与えられたもとで、実根の個数の範囲を見積もる1つの方法を与えました。
また、実根の個数の計算方法の一つとして、与えられた多項式のSturm列を計算する方法があります。Sturm列は多項式剰余列の拡張で、与えられた多項式の係数によっては、計算が不安定になることがあります。本研究では、不安定ないくつかの現象から、微小主係数の出現を取り上げ、計算途中で現われる微小主係数を無視して(消して)計算の続きを行っても、実根の個数を正しく計算できるための条件を導きました。
1変数代数方程式のすべての根を同時に計算する反復算法として、Durand-Kerner法が知られています。本研究では、D-K法の拡張の一つとして
を与えました。
実平面上で, 2変数多項式の零点の集合として与えられる代数関数の特異点の算法に関し、与えられた多項式の係数が摂動をもつ場合について考察しました。係数の摂動の範囲で特異点が現われうる領域を表す“近似特異点”の概念を導入し、近似特異点を数値算法で効率的に計算するとともに、その誤差上界を厳密に見積もるための算法を提案しました。
実平面上で、2変数多項式の零点の集合として与えられる代数関数を、効率的かつ精確に描画する算法の研究を行いました。実平面上の零点の計算を、1変数代数方程式の数値解法に帰着させ、実根のみを計算するD-K法(上記参照)を応用し、特異点の計算を効率的に行うことにより(上記参照)、代数関数の特異点等の幾何学的特徴を精確にとらえながら効率的に描画する算法を開発し、国産の数式処理システムGAL上に実装しました。