解析II演習, 学籍番号偶数番優先 2013年度秋学期BC
月曜日4限 1E502
教科書:長瀬道弘著「微分方程式」裳華房、
参考書:南部隆夫著「微分方程式入門」朝倉書店,入江・垣田著「フーリエの方法」内田老鶴圃、矢野健太郎著「微分方程式」裳華房、笠原晧司著「微分方程式の基礎」数理科学ライブラリー

プリントの提出期限は金曜日17:00までです.
7Fのレポートボックスに入れてください.


第9回(1/27)

第9回プリント

内容 フーリエ級数展開 パーセバルの等式



第8回(1/21)

第8回プリント

内容 熱方程式の変数分離解 熱方程式の一般解 熱方程式の一般解の初期条件 フーリエ正弦級数展開 関数の正弦級数展開 1の正弦級数展開


[cos を用いた展開、sin を用いた展開、両方を用いた展開、いろいろ何なのだ?]

[0,1] 上の関数を cos(nπx) を用いて展開したものを(フーリエ)余弦級数展開、sin(nπ x) を用いて展開したものを(フーリエ)正弦級数展開といいます. また、両方を用いた展開もあります.これは普通にフーリエ級数展開といいます. これらを総合して単にフーリエ級数展開という使い方もします. これはどう違うのか?プリントで区別せずに書いたたりしたため混乱した人もいることと思います. ここで、何故いくつか展開があるのか説明します.

まず、熱方程式を解くためにフーリエ級数展開を用いるとき、始め、棒を区間 [0,L] とみなし、 それ上の時刻 t の温度を関数 u(x,t) として表現しました. この(温度)関数が R 上のそれ以外の範囲にどのように拡張されるかは 境界条件を満たしている限りどうなっていても構いません. (いま、境界条件を u(0,t)=u(L,t)=0 としましょう.) 例えば、[−L,0] 上に偶関数として拡張しているとか、奇関数として拡張しているとか... いろいろと方法はあります. 前者で展開をすれば、cos(nπx/L) の級数として、後者になるように展開すれば、sin(nπx/L) の級数として 展開ができます. それを余弦級数展開といいます. それぞれ以下のようになります.

そのどちらでもないとすれば cos と sin が入り混じった展開になります.

また、最初の区間を [−L,L] として熱分布をみるとすると、熱の偏りは対称的とは限りませんから cos(nπx/L) と sin(nπx/L) の両方を使った展開

となります.一般の関数は偶関数と奇関数の和として書けますから、上の2つの関数の和の形になっているのは 当然です.

結局どれを使っても本質的にそれほど違いはありませんから、 問題は、必要に応じてもしくは簡単に解けるような形にするように使い分ければよいことになります. 例えば、境界条件で、u(0,t)=u(1,t)=0 であれば、sin(nπx) などで展開するという感じになります.

[sin(πx) の余弦級数展開]

sin(πx) は原点の周りで点対称になっており、つまり、奇関数です. このような関数でも [0,1] の関数として余弦級数展開できます. 結果は、

sin(πx) (0≤x≤1) を余弦関数で近似していくと、下のようになります. (青、紫、黄、緑)の順に |sin(πx)| に近似されています.


第7回(1/6)

第7回プリント

内容 行列 射影作用素 一般固有空間への射影作用素 行列の指数関数 これを使って連立微分方程式を解く. 解の安定性 線形方程式の安定性

[一般固有空間]

固有値 λj とその重複度 mj(固有多項式における根の重複度) に対する一般固有空間 Wj とは、

{vRn|(λjE-A)mjv=0}
のこと.一般固有空間 Wj は A が対角化できるかどうかに関わらず
Rn=W1⊕...⊕Wr
と分解できる. 特に、固有値が相異なる n 個であれば、全ての j に対して、mj=1 となり、 一般固有空間は固有空間と同じになる. また、対角化できる場合であれば、一般固有空間は固有空間と同じものである.


第6回(12/25)

第6回プリント

内容 微分演算子の復習 行列の指数関数 連立微分方程式

[X=sin(ax+b) cos(ax+b) のとき]

先週は複素数を使うと上手くいくと言って説明したが、やはり煩雑だったし、それを用いてもそれほど楽にならない.微分演算子を 用いる方法はいかに簡単にして微分方程式の特殊解を得るかという問題に特化しているので 微分演算子を使って難しい議論をすることは本末転倒である.ようするに、(D2+a2)cos(ax+b)=0 という関係式 があるので、それを使って D2 の部分をいくらでも -a2 に置き換えていっても特殊解を得るという 目的は達成させることができる. 同じように、X が eax+b や、x3+x+1 などであれば、(D-a)eax+b=0 や D3(x3+x+1)=0 という関係式が有効に 使えるというわけである.

[A が対角化できない場合の etA に関して]

言う時間がありませんでした.もしレポートにあれば何か本をみるかして頑張ってください.


第5回(12/16)

第5回プリント

以下、いろいろと書きましたが、読み進められない人は、解法1だけで十分です.

内容 微分演算子 演算子を用いた微分方程式の解法 例 (D2−4D+3)g(x)=h(x) の解法1 例 (D2−4D+3)g(x)=h(x) の解法2 例 (D2−4D+3)g(x)=h(x) の解法3 例 (D2−4D+3)g(x)=h(x) の解法4

[オイラーの公式を使うときの注意]

eix=cos x+isin x という等式を使って、複素の領域にも指数関数を適用させて計算していきましょう. しかし以下のように注意が必要です. 実際は、実関数だけを考えていることを意識しましょう. なので、統一的に書くことができますが、実用上それほど有用ではないかもしれません.

しかし、実微分方程式を簡潔に表すことができます.a,bを実数としておいて、

(D2+aD+b)g(x)=h(x)
となる微分方程式の斉次解は、この特性方程式が重根を持たないとすれば、eαx,eβx とすることができます.(α,βは特性方程式の2根.) ただし、微分方程式の解は実用上、実関数だけを考えているので、 斉次微分方程式は、複素根を持つ場合、複素関数も考えた一般解は
C1eαx+C2eβx
です.しかし今は g(x) は実関数を考えています. なので、C1,C2は一般の複素数や実数とするのではなく、この解が実数解であることを要求しなければなりません. ゆえに、解は複素共役であることから、
C1e(a+bi)x+C2e(a-bi)x=C1eax(cos(bx)+isin(bx))+C2eax(cos(bx)+isin(bx))
となり、この虚部が 0 にする必要があります. なので、この式は、
C1e(a+bi)x+C2e(a-bi)x=C'1eaxcos(bx)+C'2eaxsin(bx)
となるのです. 複素を考えても、特性多項式が実多項式で、解として考えている関数が実数ならば、最初から、eaxcos(bx),eaxsin(bx) を一次独立な2つの解として考えても差し支えないかもしれません.

[解法4で sin x にした場合]

x3sin x は、Re(−x3ieix) とすると複素微分方程式の実部として表すことができるでしょう.


第4回(12/9)

第4回プリント

内容 2階線形微分方程式 2階線形微分方程式(定数変化法) 2階線形微分方程式(1つの斉次微分方程式の特殊解から)

[n 階線形微分方程式]

今回は 2 階で行なっているが n 階でも同じことができる. つまり、定数変化法を用いることで、n 階斉次微分方程式の解が n 個与えられていればそこから、非斉次項の関数からもとの線形方程式の解が得られるものである.


第3回(11/25)

第3回プリント

来週は休講です.なのでプリント提出は12/6の17:00までになります.
内容 ベルヌイ型の微分方程式. 積分因子が計算できる例. (Py−Qx)/Q が x のみの関数であるとき (Qx−Py)/P が y のみの関数であるとき


第2回(11/18)

第2回プリント

内容 線形常微分方程式 完全微分方程式 次回は完全微分方程式とならない一階常微分方程式( P(x,y)dx+Q(x,y)dy = 0 )はどうするかという問題について教えます.

[[そのほかのテクニック]]

[特殊解を見つけること.]

今日やった例として、y'− xy = x という微分方程式の特殊解として、u = −1 という解を見つけておきます. これはいつでも見つかるとは限りません.この場合たまたま見つかったとします. そうすると、u'−xu = x を満たしますから、この両辺を引いてやって、

(y − u)' − x(y − u) = 0
となります. こうすると、v'−xv = 0 という微分方程式を解けばよいことが分かります. これは変数分離形ですので線形微分方程式の公式を使わなくてもできます.

[変数変換をすること.]

y' = sin(x+y) など三角関数の中に、y や x の関数が混じっている場合は大抵そのままでは上手くいきませんので、 sin の中を上手く文字で置き換えないといけません. そうすると、この場合、z'−1 = sin(z) という変数分離形に直すことができます.

このように工夫しないと微分方程式は大抵行き詰まってしまうものものが多いです.


第1回(11/11)

第1回プリント

内容 微分方程式 変数分離形 同次形

[n次微分方程式]

n 次微分方程式は任意定数を n 個含む.

[任意定数を含む関係式から微分方程式を得る.]

関数の族 F=F(x,y,c1,c2,...,cn)=0 がもつ微分方程式は、 F を x で次々微分してやって、n+1 個の式を得る. F=0,F'=0,F''=0,....F(n)=0 を作る. この関係式で c1,...,cn を消去してこれらの任意定数を消去する.
例えば、簡単な、y=Acos x+Bsin x などで試してみよ.

[線形の方程式(おまけ)]

今日は線形の方程式をおまけで解きました.それをここに書いておきます. 方程式は y'+P(x)y=Q(x) です.

   

   積分して、

   

   e~~ を割ることで

   

   となる.

[定数変化法による解法]

上記の方法は以下のように考えることができます.それは定数変化法といいます. y'+P(x)y=Q(x) の右辺を 0 とおいてやって、 y'+P(x)y=0を解くことを考えます. これは変数分離形ですから、解くことで、log y=−∫P(x)dx+C となります.つまり、 が解ですが、 A は任意定数です.ここで、この定数を変化させることで、A(x) として解を探す.
   

となるが、移項して となるが、この式を積分することで、解となる A(x) が求まる.


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