ハンドルセミナー'15 (since 2013)
(原則的には4次元多様体に関するセミナーですが、実質的にはどんな話題でも歓迎です.)
場所:東京工業大学(大岡山キャンパス)本館
english version
2015年後期
- 第13回 3/24(木)(H318)
大場 貴裕氏10:00-12:00
[タイトル]
単位余接束上の標準的接触構造に適合するオープンブックについて
[アブストラクト]
多様体の単位余接束には canonical な方法で接触構造が定まる。
今回は、リーマン面の単位余接束を考え、
この空間の標準的接触構造に適合するオープンブックの具体的な表示
(ページとなる曲面、モノドロミーとなる写像類)を紹介する。
なお、この研究は Koç 大学の Burak Ozbagci 氏との共同研究である。
[参考文献]
T. Oba and B. Ozbagci, Canonical contact unit cotangent bundle. arXiv:1601.05574
- 第12回 2/18(木)(H318)
奥田 喬之氏10:00-12:00
[タイトル]Dehn twist presentation of periodic mapping classes via splitting of singular fibers
[アブストラクト] 前回の講演では、
有向閉曲面の周期的写像類を右手デーンツイストに分解するという目標の下、
対応する周期的モノドロミーを持つような退化族の星形特異ファイバーの
分裂可能性についての結果を紹介した。今回は、
与えられた特異ファイバーが剥離変形によってレフシェッツファイバーに分裂したという仮定の
下で、
その消滅サイクルを決定する(即ち一般ファイバー上での位置を実際に描く)手法を説明する。
また、これを用いることで得られた周期的写像類のデーンツイスト積表示の具体的な例も
いくつか示したい。
- 第11回 11/19(木)(H318)
奥田 喬之氏10:00-12:00
[タイトル]Decomposition of periodic mapping classes via splitting of singular fibers
[アブストラクト] 複素曲線束に現れる特異ファイバーの分裂現象は、
その各特異ファイバーの周りの位相モノドロミーを通して、
一般ファイバーであるリーマン面の写像類群の元の分解に対応する。
特に、星形特異ファイバーがレフシェッツファイバーへ分裂する変形は、
対応する周期的写像類の右手デーンツイストによる積表示を与える。
本講演では、
そうした積表示を視野に入れた特異ファイバーの分裂可能性についての結果を、
剥離変形を用いた具体例を交えながら紹介したい。
- 第10回 11/5(木)(H318)
丹下 基生 10:00-12:00
[タイトル]
有限位数をもつコルクとその応用
[アブストラクト]
通常のコルクの、スライス円盤に関する分岐被覆をとると、有限位数のコル
クが構成できる.このコルクの応用について考える.また、位数が2の場合で、キャンセリング
ペアを含むものを考えると、2つのスライス結び目の0手術からなるホモロジー球面を境界とす
る可縮多様体が得られる.このとき、自然にslice-1-handleと2-handleの入れ替えによりコルク
ツイストが得られることを示す.
- 第9回 10/1(木)(H318)
濱田 法行氏 10:00-12:00
[タイトル] On a double cover of Matsumoto's genus 2 Lefschetz fibration
[アブストラクト] Lefschetz fibration/pencil の有限被覆をとるとまた Lefschetz fibration
pencil になるという簡単な事実は、素朴なアイディアであるがあまり考察されていない
ようである.講演では, Lefschetz fibration/pencil の有限被覆とモノドロミーの関係を明
らかにし,
具体例として, これまで本セミナーで扱ってきた松本ファイブレーションの被覆
を構成する.一方, 松本ファイブレーションは高種数への一般化が知られているが, そのうち
種数3のものは実は松本ファイブレーションの二重被覆であることを証明する.
佐藤 光樹氏 14:00-15:00
[タイトル] スライス結び目に沿った素数ベキ巡回分岐被覆のrational boundについて
[アブストラクト]
結び目の素数ベキ巡回分岐被覆が有理ホモロジー3球面になることや、スライス円板の素数ベキ巡回分岐被覆が有理ホモロジー4球体になることは、Milnorの無限巡回被覆に関する結果からすぐに従う。本講演では、これらの命題の証明を紹介する。また、同様の議論を適用することで、8の字結び目の(2,1)-ケーブルに沿った奇素数ベキ巡回分岐被覆を境界にもつ有理ホモロジー4球体を構成できることを示す。
2015年前期
- 第8回 9/2(水)(H318)
浅野 知紘氏 10:00-12:00
[タイトル] symplectic Khovanov homologyについて
[アブストラクト] symplectic Khovanov homologyはSeidelとSmithによって定義された絡み目の不
変量であり, Khovanov homologyと同型になることが予想されている. その定義
にはあるシンプレクティック多様体でのラグランジュ交差のFloer理論を用いる
が, Manolescuはその多様体を円盤上の種数0のLefschetz fibrationと関連付け
た.
今回はこれらの空間の構成に主眼を置いて, symplectic Khovanov homologyの定
義について概説する.
[参考文献]
P. Seidel and I. Smith. A link invariant from the symplectic geometry of nilpotent slices. Duke Math. J. 134:453-514, 2006.
C. Manolescu. Nilpotent slices, Hilbert schemes, and the Jones polynomial. Duke Math. J., 132:311-369, 2006.
- 第7回 9/1(火)(H318)
今野 北斗氏 10:00-12:00
[タイトル] 4次元多様体に埋め込まれた曲面の配位と種数の評価
[アブストラクト] 4次元多様体に,自己交差数が0の曲面が複数個,適当な配位に
埋め込まれているとき,少なくともひとつの曲面の種数に制限がかかることを説
明する.証明は,曲面の情報を用いたSeiberg-Witten方程式の族を考えることに
よりなされる.その応用として,2つの曲面の種数の組への制限や,Strleの
adjunction inequalityの別証明が得られることを紹介する.
[参考文献]
Hokuto Konno, “Bounds on genus and configurations of embedded surfaces in 4-manifolds”
http://arxiv.org/abs/1507.00139
- 第6回 7/28(火)(H318)
山田裕一氏 10:00-12:00
[タイトル] Minimally twisted five chain link の デーン手術
[アブストラクト] レンズ空間手術の理論が転換期です.Tange-Rasumussen のリストに含まれないポアンカレ球面
からのレンズ空間手術の例が報告される ([Baker]) などです.レンズ空間からのレンズ空間手
術へと視野が広がったことが理由だと思います.その始まりとなった Minimally twisted five
chain link の「実験結果」(参考論文)について話します.ハンドルセミナーとして、いくつ
かハンドル計算を紹介したりします.
[参考文献]
[MPR] B.Martelli, C.Petronio and F.Roukema,
Exceptional Dehn surgery on the minimally twisted five-chain,
Comm. Anal. Geom. 22 (2014) no.4, 689-735.
[BDH] K.Baker, B.G.Doreshal and N.Hoffman,
On manifolds with multiple lens space fillings,
Bol.Soc.Mat.Mex. 20 (2014), 405-447.
- 第5回 7/14(火)(H318)
佐藤光樹氏 10:00-12:00
[タイトル] 結び目の位相的スライス性の障害について
[アブストラクト] Collinsの博士論文を手掛かりに,結び目の位相的スライス性の障害を与える代表的な不変量(L2-符号数,Casson-Gordon不変量,捻れAlexander多項式)について概説する.
参考文献:
Collins, On the concordance orders of knots.
arXiv:1206.0669(2012).
- 第4回 6/23(火)(H318)
安部 哲哉氏 10:00-12:00
[タイトル] The Dehornoy ordering of braids
[アブストラクト] この講演では、Dehornoy順序とよばれるブレイドの左順序の概説をする。
また(講演者が理解している範囲で)三次元多様体の基本群
が、いつ左順序付け可能かに関する話題にも触れる。
- 第3回 6/16(火)(H318)
久野 恵理香氏 10:00-12:00
[タイトル] 幾何学的群論の導入と curve graph の一様双曲性
[アブストラクト] 幾何学的群論は, 群の構造を幾何学的な立場から調べる新しい分野で, 低次元トポロジー, 双曲
幾何など多くの分野と密接にかかわっている. Gromov 双曲性という幾何学的群論において重要
な概念がある. 本講演では, まず Gromov 双曲性を中心とした幾何学的群論の基本的で重要な事
項についていくつか選んで解説する. そして最終的には向き付け不可能曲面の arc graph, curv
e graph, そして arc-curve graph は曲面の種数や境界成分の個数に依存しない定数で双曲的で
あるという結果を述べ, curve graph についてその証明の概略を説明することを目標とする.
- 第2回 5/19(火)(H318)
丹下 基生 10:00-11:00
[タイトル] 31のねじれホワイトヘッドダブルのスライス性の判定とヒーゴールフレアホモロジー
[アブストラクト] 三葉結び目のねじれホワイトヘッドダブル D+(31,n) がスライスになるための必要十分条件が n=6 であることをヒーゴールフレアホモロジーのd-不変量を用いて示す.(関連する話として(2013年の土屋君の第10回のハンドルセミナー.)
この話では、Owens-Strleの障害を用いて D+(31,n) のスライス性の判定を行う.また、時間があれば、ヒーゴールフレアホモロジーの計算手法を紹介しつつ、最終的に 31#31 の整数手術および、半整数手術のフレアホモロジー(HF+ version)を決定する.
[Reference]
Motoo Tange, Heegaard Floer homology of Matsumoto's manifolds ( here.)
佐藤 光樹氏 11:00-12:00
[タイトル] Heegaard Floer correction terms of (+1)-surgeries on (2,q)-cablings
[アブストラクト]:
- 第1回 4/14(火)(H318)
濱田 法行氏 10:00-12:30
[タイトル] Sections of Matsumoto's genus 2 Lefschetz fibration II
[アブストラクト] 以前扱った松本ファイブレーションについて,
disjointな(-1)-切断の4個組を新たに2組に構成した. 前回紹介したものと
合わせて4組発見したことになるが, 全空間のホモロジーと比べると
面白い現象が見られる. これらについて議論したい.
english version
< Keywords(今まで扱ったものを中心に)>
4-manifolds, Handle, Handle calculus, Kirby calculus, Exotic structure, Cork, Plug, Heegaard Floer homology, Seiberg-Witten invariant, Yang-Mills theory, Plane field, Contact structure,
Mapping class group, Lefschetz fibration, Fibered knot, Dehn surgery, Ribbon knots, Stein filling, Immersion, Branched cover, Mazur manifold, PALF, Curve graph, Whitehead double, Dehornoy ordering, Braid, Casson-Gordon invariant.
< 宛先 >
何か議論or話をしたい人がおられましたら、tange _at_ math.tsukuba.ac.jp まで連絡ください.
< 更新日時 >
Seminar