ハンドルセミナー since 2013
(原則的には4次元多様体に関するセミナーですが、実質的にはどんな話題でも(数学に限らず科学一般でも)歓迎です.)
場所:東京工業大学
english version 
2013年前期
- 第1回 4/24(水)(本館335)
 丹下 基生  10:00-12:00   ノート
 [タイトル]:E(1)に埋め込められるあるブリースコーン多様体
 [アブストラクト]:E(1)に、 Σ(2,3,6(2n-1)−1) (1≤ n≤15) の形のブリースコーン多様体
の埋め込みがあり、その多様体でE(1)を分割すると、
ゴンプのヌクレイと −E8 多様体になること.またその埋め込みから、squareが −29 となるあるsphere classが存在する.
 
 
- 第2回 5/1(水)(本館206)
 丹下 基生  10:00-12:00, 13:00-15:00   ノート
 [タイトル]:ログ変換、結び目手術、Fintushel-Stern, Parkのエキゾチックな有理曲面について.
 [アブストラクト]:ログ変換の定義とその変換の描き方.結び目手術の描き方.
楕円曲面のモノドロミー.
有理ブローダウンの描き方.ログ変換を有理ブローダウンを用いて表すこと.Parkのエキゾチック CP2#8,7-CP2また、
Fintushel-Sternのエキゾチック CP2#6-CP2
 
 
- 第3回 5/15(水)(本館213)
 丹下 基生  10:00-12:00   ノート   4次元トーラスのドット1-handle表示
 [タイトル]:Akhmedov-Parkのエキゾチック多様体、4次元トーラス、Cappell-Shaneson球面.
 [アブストラクト]:Akhmedov-Parkによるエキゾチック CP2#3-CP2 の定義.Luttinger surgery. symplectic多様体の手術.4次元トーラスの描き方.T2×Σg の描き方.
2つの4次元多様体を貼り合わせてできる多様体の構成.Akbulutのhooking and roping.Cappell-Shaneson
球面の描き方.
 
 
- 第4回 6/12(水)(本館213)
 山田 裕一氏  10:00-12:00   ノート
 [タイトル]:トーラス結び目とレンズ空間
 [アブストラクト]:トーラス結び目は、基本的なだけに、代数曲線、特異点、など
横の広がりも持った興味深い対象だと思います.
トーラス結び目に沿うデーン手術で lens space が生じる理由を
ハンドルセミナー らしい方法で説明します.
 
 
- 第5回 6/19(水)(本館206)
 安部 哲哉氏  10:00-12:00   ノート   ハンドルスライド
 [タイトル]:Property nR予想とスライスリボン予想
 [アブストラクト]:Generalized Property R予想とProperty nR予想について知られていることを紹介します。
特に、キャペル・シャネソン(ホモトピー)4球面から
Property 2R予想とスライス・リボン予想の反例候補が得られることを紹介します。
また、なぜそれらが反例の可能性が高いのかを説明します。
 [参考文献]
R.Gompf, M.Scharlemann and A.Thompson,
Fibered knots and potential counterexamples to the Property 2R and Slice-Ribbon Conjectures,
 Geometry & Topology $\textbf{14}$ (2010) 2305-2347.
 
 
- 第6回 6/26(水)(本館206)
 丹下 基生  10:00-12:00   ノート 堀川曲面
 [タイトル]:branched coverのハンドル分解とその応用
 [アブストラクト]:Gompf-Stipsiczのbranched coverに関係するする部分.
4次元多様体に埋め込まれた曲面でbranchする多様体の記述など.
ある3次元多様体をboundする4次元多様体の構成方法.branched coverと2-handlebodyとの関係
について.
 [参考文献]
R. Gompf and A. Stipsicz, 4-manifolds and Kirby Calculus  Graduate Studies in Mathematics, 20. American Mathematical Society, Providence, RI, 1999
 
 
- 第7回 7/4(木)(本館225)
 山田 裕一氏  10:00-12:00   ノート   グレープ帳
   資料
 [タイトル]:Divide knots and Kirby-Melvin' grapes
 [アブストラクト]:Kirby--Melvin が定義した grapes は「円板による平面の最密充填」に含 
まれる連結な円板の和集合で、Kirby 図式を通して特殊な4次元多様体を表しま 
す. 特に、複素曲面に含まれる4次元多様体を表します. これは前回話せなかっ 
た「divide knot 理論」とも相性が良いので、何かに使えないか と常々思って います.
 [参考文献]
R. Kirby and P. Melvin, The E8-manifold, singular fibers and handlebody decompositions.
Proceedings of the Kirbyfest (Berkeley, CA, 1998), 233?258,
Geom. Topol. Monogr., 2, Geom. Topol. Publ., Coventry, 1999.
 
 
- 第8回 7/16(火)(本館H220→H206)
 丹下 基生  10:00-11:00   ノート
 [タイトル]:コルク、プラグ、および4次元多様体の局所変形
 [アブストラクト]:コルクとプラグについて基本的な
概念を復習したあと、Akbulut氏と安井氏によって研究されているコルクプラグを紹介し、
講演者が最近定義した結び目手術の間に存在する無限位数のプラグと
その一般化について説明する.
また時間があれば、結び目のある局所変形に対するプラグや有限位数のプラグの構成方法などにも
触れる.
 [参考文献]
S. Akbulut, and K. Yasui, Corks, Plugs and exotic structures,
Jour. of GGT, vol 2 (2008) 40-82.
 M. Tange, A plug with infinite order and some exotic structures,(ただいま加筆中)
 
 土屋 政統氏  11:00-12:00
 [タイトル]:コルクの存在について
 [アブストラクト]:R.Matveyev が証明した、コルクの存在についての論文を紹介をします。
 [参考文献]
R. Matveyev, A decomposition of smooth simply-connected h-cobordant 4-manifolds, J. Differential Geom. 44 (1996), no. 3, 571?582
 
 
- 第9回 7/27(土)(本館H206)
 土屋 政統氏  10:00-   ノート
 [タイトル]:コルクの存在について
 [アブストラクト]:R.Matveyev が証明した、コルクの存在についての論文を紹介をします。
 [参考文献]
R. Matveyev, A decomposition of smooth simply-connected h-cobordant 4-manifolds, J. Differential Geom. 44 (1996), no. 3, 571?582
 
 
2013年後期
- 第10回 10/18(金)(本館H318)
 土屋 政統氏  13:00-
 [タイトル]:
2つのクローバー結び目で表される homology 3-sphere について
 [アブストラクト]:二つの trefoil が一か所でlinking number 1 で絡んでいて、それぞれの
framing が 0, n であるような図式で表される homology 3-sphere を
Wn とすると、n が奇数のとき Wn は可縮な 4-manifold を bound しない.
 - n=0 のときはAkbulut[A] が可縮な 4-manifold を bound しないことを示してい
ます。
 - n=6 のときは円山憲子氏[M]がbound することを示しています。
 [参考文献]
 [A] S. Akbulut, A Note on a Homology Sphere, PROCEEDINGS OF THE
AMERICAN MATHEMATICAL SOCIETY Vol.125, Number 2, February 1997, 625-628
 [K] Rob Kirby (compiler), Problems in Low Dimensional Manifold Theory,
Proceedings of Symposia in Pure Mathematics, Vol.32, (1978), 273-312. MR
80g:57002
 [M] N Maruyama, Knot Surgery Description of Some Closed Orientable
3-Manifolds, JOURNAL OF TSUDA COLLEGE, Vol.16,(1984),1-14.
 [T] M.Tsuchiya, On homology 3-spheres defined by two knots, 
arXiv:1401.7445
 
 上の多様体のHeegaard Floer homololgyを計算したノートをおいておきます→(ノートby tange)
 
 
- 第11回 11/1(金)(H318)
 大場 貴裕氏  13:00-14:30
 [タイトル]:genus 0 の PALF を許容する Mazur 多様体 について
 [アブストラクト]:ある Mazur 多様体、すなわち可縮な向き付け可能コンパクト4次元多様体で
境界がS3でない多様体、が 3 holed disk を fiber とする PALF ( positive allowable Lefsc
hetz fibration )
を許容することを示します。なぜこのようなPALFを許容する4次元多様体を研究するかについても
contact topology の視点から触れたいと思います。
 
 安部 哲哉氏  15:00-16:00
 [タイトル]:Infinitely many ribbon disks with the same exterior
 [アブストラクト]:大阪市立大学で講演したときは、$8_{20}$のアニュラス表示から
ribbon disksの無限系列を作りました。
 他の結び目のリボン表示から、アニュラスツイストで
ribbon disksの無限系列を作ると
ハンドル計算の議論が非常に簡単になることがわかりました。
今回はそれを紹介します。
 
 
- 第12回 11/22(金)(H318)
 丹下 基生  13:00-
 [タイトル]:2-同値類とリボン曲面タングル
 [アブストラクト]:任意の4次元の2ハンドルボディは4球体上のリボン曲面の
branched coverで書ける。またその2ハンドルボディが2ハンドルまでのハンドルスライドと1/2ハンドル生成消去
(2-equivalence)
で同じになるためのリボン曲面の完全な関係が得られた(以下の論文).
この話では、それらの関係を使って4次元多様体の2ハンドルボディの2-equivalence classの不変量を構成する
することを目指す.
 [Reference]
 I.Bobtcheva and R.Piergallini On 4-dimensional 2-handlebodies and 3-manifolds. 
J. Knot Theory Ramifications 21 (2012), no. 12, 1250110, 230 pp.
 
 
- 第13回 1/17(金)(本館H235室)
 丹下 基生  13:00-ノート
 [タイトル]:Some plug twists with infinite order and Seiberg-Witten invariant
 [アブストラクト]:無限位数をもつプラグツイストに対して得られる
無限個のエキゾチック微分構造をSeiberg-Witten不変量を用いて検出することを
紹介する.
また、Heegaard Floer 4-manifold invariantから無限位数コルクに関するある制限について議論をする.
 
 
- 第14回 2/14(金)(本館H318室)
 浮田 卓也氏  13:00-14:30
 [タイトル]:Akbulut-Yasui corkのPALF構造とcork twist
 [アブストラクト]:Stein曲面の一種であるAkbulut-Yasui corkについて、種数0のPALF構造を構成
した結果について紹介します。
 
 大場 貴裕氏  15:00-
 [タイトル]:genus 0のPALFを許容するMazur type manifoldについて
 [アブストラクト]:4-holed sphereをfiberとするPALFを許容する
Mazur type manifoldを無限個構成することができたので報告します。
これは以前にこのセミナーでお話しさせていただいたことの拡張です。
 
 
- 第15回 3/4(火)(本館 H318)
 佐藤 光樹氏  13:00-
 [タイトル]:結び目のCP2-種数とその応用
 [アブストラクト]:結び目のCP2-種数を用いてCP2のエキゾチック構造を判定する方法を紹介します。
 
 山田 裕一氏  (上記終了後直ちに)
 [タイトル]:結び目820の話  ノート
 [アブストラクト]:820 = Pr(-3,3,2) は, 安部-鄭-大前-竹内 の研究でも登場している 
Ribbon かつ Fibered な knot で, その 0-surgery が別の knotの 0-surgeryで
も得られる, という特徴があります.
 (1) まず Monodromy を調べます.
 (2) 0-surgery がグラフ多様体であることを確かめます.
 (3) the Mazur manifold, false Mazur manifold との関連を述べます.
 (4) なぜかそこへ 例外的デーン手術 が顔を出します.
 ハンドルセミナーのメンバーの最近の課題に少しずつ関係する話題だと思うので,
 参考になれば幸いです.
 [参考文献]
Abe. Jong, Omae and Takeuchi, Annulus twist and diffeomorphic 4-manifolds, Mathematical Proceedings of the Cambridge Philosophical Society 155 (2013), 219-235.
 
 
- 第16回 3/26(水)(H318)
 安部 哲哉氏  13:00-
 [タイトル]:結び目$8_{20}$の話の続き
 [アブストラクト]:安部-鄭-大前-竹内は、結び目$8_{20}$から相異なる結び目の無限系列 $\{K_i\}$ で、
 \[  X(8_{20}, 0) \approx X(K_1, 0) \approx X(K_2, 0) \approx \cdots \]
となるものを構成した。ここで、$\approx$ は微分同相、
$X(K,m)$ は、$K$ に沿ってフレーミング $m$ で2ハンドルをつけて得られた4次元多様体を表す。
 この講演では、任意の $n$ に対して、
結び目の無限系列 $\{J_{i}\}$ が存在して
\[  X(8_{20}, n) \approx X(J_1, n) \approx X(J_2, n) \approx \cdots\]
となることを示す。
残りの時間で、結び目 $J_i$ が相異なることを示すことを試みる。
 この研究は、鄭仁大氏との共同研究である。
 
 [参考文献]
 Abe. Jong, Omae and Takeuchi, $\textit{Annulus twist and diffeomorphic
4-manifolds}$,
 Mathematical Proceedings of the Cambridge Philosophical
Society $\textbf{155}$ (2013), $219-235$.
 
 
english version
 
< 情報 >
当セミナーはれっきとしたセミナーですが、セミナーというより 4-manifold researchers による あくまで生真面目なcoffee break と考えていただければと思います.
何か話したいことがある人は、tangeあっとまーくmath.tsukuba.ac.jp まで
2014年4月29日 つくば市にて更新
 
Seminar