計算機数学 1 (2単位) … 担当・佐々木建昭

開設期,開設曜日時限:1〜2学期、金曜日・3時限

キーワード:イデアルのグレブナー基底、近似代数


授業の目標: 計算機代数において最も重要な算法の一つであるグレブナー基底とその 種々の応用、および日本発の世界的トピックスである近似代数(近似的 代数算法)とその応用について、最近の研究の展開を述べつつ講義する。

1学期: グレブナー基底とその応用

1) 多項式イデアルの計算における問題点とグレブナー基底
2) Buchbergerのグレブナー基底計算法と基本定理
3) 連立代数方程式の求解と代数関係の計算への応用
4) モジュラー算法によるグレブナー基底計算の効率化
5) 多項式係数連立線形方程式の多項式解の計算法
6) 多項式イデアルの諸演算への応用
7) 非可換代数のグレブナー基底と連立線形偏微分方程式
8) 最近の研究について

2学期: 近似代数(近似的代数計算法)

1) 厳密数式処理の限界と近似代数の登場
2) 1変数多項式の近接根と近似無平方分解
3) 浮動小数係数多項式の近似GCDと摂動項の最小化
4) 多変数多項式の近似因数分解と絶対既約性の判定法
5) 拡張ヘンゼル構成と近似ピュイズー級数展開法
6) 近似的代数計算による代数関数の解析接続とリーマン面の決定
7) 1変数実多項式の近似実根と近似スツルム列について
8) 近似的代数計算における桁落ち誤差について

成績評価: 学期末と折々のレポート課題による。

注意事項: 自然学類3年次の授業(計算機数学1)を受講していることが望ましい。

参考書:: 佐々木建昭他、岩波講座 応用数学 (第5巻)「計算代数と計算幾何」、1993年。