「Temperley-Lieb 代数の多項式表現について」
講師:笠谷昌弘 氏
(京大・博士後期2年)
日時:平成18年5月24日(水)〜26日(金) 14:00〜15:00
場所:24日は自然系学系棟B811、25日と26日は自然系学系棟D814
Abstract
ダブルアフィン Hecke 代数 (DAHA) は、1990 年代に Cherednik により
導入された代数であり、2つのアフィン Hecke 代数を部分代数として含んでいる。
DAHA は Macdonald 多項式に関する予想の解決に大きな効力を発揮したが、
そこでは DAHA の基本的な表現である多項式表現が用いられていた。
今回の発表では GL_n 型 DAHA の多項式表現 V を扱う。この場合、代数が持つ
2つのパラメータ t, q が
t^{k+1}q^{r-1}=1 (k,r は1 \leq k \leq n-1, 2 \leq r なる整数) という
関係を満たすとき、
具体的に多項式に関する零点条件 (wheel condition と呼ぶ) を用いて、
部分表現の有限増大列
I_1^{(k,r)} \subset I_2^{(k,r)} \subset \cdots
\subset I_N^{(k,r)} \subset V
を定義することが出来る。
特に最も小さい部分 I_1^{(k,r)} は既約であり、具体的な基底も記述できる。
一方、アフィン Hecke 代数の商代数としてアフィン Temperley-Lieb 代数が
定義できる。この代数は円盤上のリンクパターンの空間上の表現、path の
空間上の表現という典型的な2種類の表現を持つ。
我々はこれらの表現が、前述した I_1^{(k,r)} のある部分空間と双対の関係に
なっていることを示す。
また、wheel condition と q-KZ 方程式との関連等についても説明したい。
この発表は、V.Pasquier 氏 (CEA Saclay, France) との共同研究に基づくものである。
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